高原宏明プロフィール
「すいません。店、あけてもらえますか?」「商品がいるんです!」 店のシャッターを叩く音が響き、お客さんの声が聞こえてくる。
日曜日の朝でも、必要な商品を求め、お客さんが閉まっているシャッターの前で待っているのだ。やがて、祖母がシャッターを開けて、お客さんの応対をはじめるのが 聞こえてくる。
祖父が戦後昭和23年に創立した株式会社高原商店。私は、住居と会社が一緒になった環境で育った。子供の頃の昭和40年代は、会社は大忙しだった。
ひっきりなしにお客さんが訪れ、みなが元気よく大きな声で商売をしていた。商品はあればあるだけ売れるので、うちの会社は在庫をどんどん置いて、お客さんのご要望に応えていった。
「なんでも置いてある店」、そういう風に高原商店のことを言うのを、子供心に聞いた。そこには、「地域の人たちの為に役立っている」「ものづくりを支えている」誇りのような匂いが感じられた。
貿易立国、日本は優れた商品を海外に輸出することで発展する。それが国民の使命として、自分たちの仕事を通じて国を豊かにしようという意思が姫路の工業地域にあふれていた。
そして、ものづくりには ただ儲けることだけでなく、日本独特の「道」に通じる探究心やこだわりがあり、美学があった。日本が経済大国への道をかけのぼる時代、それは私の成長期とも重なっていた。
メイドインジャパンは高品質な製品。機械工具販売業は その ものづくりを支える社会意義のある仕事だと、私は幼少期からずっと思っており、社会人として その道を選び、修行期間を経て 3代目として ㈱高原商店で働きはじめた。
㈱高原商店会社のモットーは、「誠心誠意」。まじめな社風で、社員全員が「お客様のこころを感じとる 誠心誠意をつくす 創意と熱意を発揮する」営業として、姫路を中心とした地域のものづくりのために、毎日汗を流し、お客さんのもとへ足を運んでいる。
現在、人口が減少し始めた少子高齢化社会の日本。経済危機に加え、震災後は製造業の海外移転・空洞化が進み、日本製品のブランド力低下が言われている。過去の遺産だけでは食べてはいけない。
新たな創造、変化が起こり始めている。諸行無常、社会は常に変化・変容していく。さまざまな製品が世に出て、栄華盛衰を繰り返す。新しい製品や技術は社会を大きく変え、人々の意識まで変えていく。
世界はせまくなり、変化のスピードは格段に速くなった。地域の産業構造も時代とともに変化し、㈱高原商店の取扱商品もそれに対応してさまざまに変化していくだろう。
㈱高原商店にも、より早く、より高い専門性で、信頼できる商社機能が求められている。流通の仕組みの変化、IT技術の活用とやるべき課題に取り組み、今後ますます重要となる「ひと」のつながりを活かしていかなければならない。
もちろん、変わらない部分がある。大切なのは、お客さんの役に立っているかどうか。社会から必要とされている会社であり続けることだ。
未来は誰にもわからない。しかし、本気で耳を澄ませば、ちゃんと聞こえてくるはずだ。シャッターを叩く音のように、お客さんの声が、社会のニーズが。それに応えていくため、努力し続けていきたいと考えている。
略歴 | ■1964年12月31日生まれ ■1983年 兵庫県立姫路西高等学校 卒業 ■1987年 神戸商科大学 商経学部 経営学科 卒業 |
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所属団体 | ■(社)姫路青年会議所 シニアクラブ ■姫路商工会議所 |
資格 | |
趣味・特技 | 食べ歩き |